2011年8月18日木曜日

底抜けに明るい人達に出迎えられた街、Beograd(2) (8/14 - 8/15)

ベオグラード2日目(といっても実際に街に出たのは初めて)。

朝からAnaの友達Jelenaが家に来てくれる。Anaの家族と一緒に遅めのブランチを食べ、街に出た。
街の中心街の広場で、Jelenaの知り合いの妹で大学時代4年間日本語を学んでいたというSladjanaと
合流し、一緒に街を歩く。Sladjanaは夏目漱石の文学に触れたのをキッカケに日本語に興味を持ち、
ベオグラード大学で日本語と英文学を専攻していたそうだ。2年間使っていないのでかなり忘れました、
と言いながらもちゃんと喋れていた。前日は地元のフェアか何かで日本のブースを担当し、浴衣を着て
お茶を振る舞っていたらしい。まさか旅の途中で日本語を喋るセルビア人に会うとは・・・

近頃日本に興味を持つ外国人は「アニメやマンガが好きで・・・」という人が圧倒的に多いが
Sladjanaはアニメやマンガに一切興味がなく、逆に日本がそれらのポップカルチャーのみで外国に
存在感を現していることに嫌悪感すら持っているようだった。

「日本に興味を持っている、と人に言うと『アニメが好きなのか?』と聞かれるのが凄く嫌だ。
日本=アニメ・マンガと言うもの凄く限定的なイメージしか伝わっていない。本当は文化とか文学が面白いのに」と嘆く。

僕も全く同感です。そう思ってくれて嬉しいです。






Sladjana(左)とJelena(右)

ベオグラードはサヴァ川とドナウ川の合流地点にある川の街だ。旧市街と新市街が川を境に分かれていて、
主な歴史的見どころはもちろん旧市街側にある。旧市街は小高い丘になっていて、一番高い所には
ベオグラードの複雑な歴史の中で数々の人達が使った砦(カレメグダン要塞)の跡がある。
カレメグダン要塞の歴史はちょっと読んだだけで混乱する程様々な帝国や民族の名前が次から次へと
出てくる。それもそのはず、ベオグラードは欧州最古の都市の1つで、紀元前6千年頃から人が住み始め、
過去に140回も戦いの場となったらしい。

最も最近の話では、1999年にNATO軍がアルバニア系住民をユーゴスラビア武装警察や民兵から保護する
目的で軍事介入したコソボ紛争が記憶に新しい。
ベオグラードの街の一角にはNATO軍により受けた爆撃の跡が今でも生々しく残っている。










今となってはたかが12年前まで戦争が起こっていた街であることが信じがたいくらい人々は
明るく、活気に溢れている。

ちょうど僕が訪れた週末は、近々開通する新しい橋を歩行者にだけ特別に開放するイベントを
行なっており、一大インフラプロジェクトの完成を待ち侘びた人達で賑わっていた。








レバノンにしろセルビアにしろ、近年戦争を経験した国の人達というのは独特の意志の強さや明るさを
持っていて人間的に魅力ある人が多い気がする。日本も戦後の世代というのは、こういう感じだったのかな、
とちょっと思った。
メンタルスポーツのテニスでセルビア人があれ程強い理由も、辛い戦争を乗り越えてきた民族だから、
という説明がされることがある。もちろん理由はそれだけではないだろうが一理あると思った。


夜はAnaの元同僚、BrankoとDanja夫妻がベオグラードで一番の飲屋街に連れていってくれた。
ボヘミアンなライブミュージックを聴きながらセルビアの泡盛とでも言うべき「アラキア」という
桃や梅から作る40度くらいの蒸留酒を2杯ショットでまずは飲み、その後セルビアンビールを2種類飲んだ。
Danjaは建築家Anaの大学時代の同級生なので同じく建築関係、夫のBrankoは法律関係の仕事をしている。
2人とも熱心にバルカンの問題や歴史について教えてくれ、こちらも日本の話題をたくさん話した。
Brankoは結構日本通でサッカーオタクなので日本のJリーグのチームについてもかなり知っていた。

「日本はセルビアの戦後復興協力としてベオグラードにバスを50台送ってくれたんだ。だから
ベオグラード市民は概ね日本にとても好印象を持っているよ。この間の地震の後もベオグラードでは
寄付イベントがたくさんあって、そのお礼として日本大使館から桜の木の苗が贈られたんだ。但し、
タダで木の苗を貰えると聞いた市民が殺到し、老人が取っ組み合いの喧嘩になり負傷者が多数出たんだ。
本当に情けない話で、同じセルビア人として恥ずかしいよ(汗)」と語っていた。

また、「セルビアは隣国を除けば大体どこの国とも仲がいいんだ。国際政治も隣人関係も根本的に一緒さ。
お隣さんの騒音や臭いは気になるけど、2~3階くらい離れたフロアの人となら問題なく付き合える。
でも結局隣人同士って国レベルでは似たもん同士が多い。バルカンだってこんなに対立してるけど、
基本的に一緒だからね(笑)」とも言っていた。

夜は更けに更け、結局3時前まで語ってしまった。

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