2011年8月31日水曜日

静かで上品な街、Lausanne (8/27 - 8/28)

大学院の1年目に一緒の建物に住んでいたスイス出身のO君を訪ねてローザンヌへ。
前夜に降った雨でひんやりとしたミュンヘンを早朝に出発し、約7時間かけてローザンヌへむかった。

最初はミュンヘンから近いチューリッヒに行く予定だったが、O君がカナダへ旅行に
旅立つと聞き、彼がいる間にローザンヌへ行っておこう、ということで急遽敢えてチューリッヒ
よりも遠いローザンヌへ先に行くことにした。

今まで僕はスイスという国に特別興味がなかった。
清潔で、お金持ちがプライベートバンクにお金を預け、高い技術を持つ人気の国、というイメージは
あったが、根がへそ曲がりなせいかみんなが良いと言うとあまり興味を持てなくなるのかもしれない。

でも行ってみて全く気が変わりました。良いものは良いんです(笑)

ハワイだってみんな行くけど、確かにあんなに海岸から近くに珊瑚礁が広がっている綺麗な海は
そうそうない。確かにいいとこなんだ。

事前に抱いていたスイスのもう一つのイメージは、日本と似ている国、ということだった。
国土が狭く山が多く、資源はないが世界に誇る高い技術力を持っていて、勤勉な国民がいる、という共通性だ。
このイメージも結構合っていた。電車でチューリッヒからローザンヌにむかっている間の風景は
長野県の野辺山辺りを小海線で走っているような感覚だった。電車の時間も今までのどの国よりも正確で、
清潔感も日本に似ている。スイス人も日本のことを「アジアのスイス」と呼ぶことがあるらしい。
相手がそう来るならこちらはスイスを「ヨーロッパの日本」と呼んでやろう。


ローザンヌの駅でO君に出迎えて貰ったあと、中心街からすぐの閑静な住宅街にある彼の新居にお邪魔し、
一通りお互いの近況報告をした。
O君はバンクーバーで一年間の短期ビジネスプログラムを終え、スイスに帰国後比較的すぐに
スイスを代表する某多国籍企業にエンジニアとして就職が決まった。この夏から働きはじめ、今は業務の
いろはを学ぶ研修の真っ只中らしい。と言いつつも今週から2週間早速休暇を取ってカナダに遊びに行くという
から羨ましい話だ・・・。


ローザンヌはチューリッヒ、ジュネーブ、バーゼルに次ぐスイス第四の都市。ジュネーブと同じく
レマン湖の畔に位置し、急峻な斜面に市街地が広がるしっとりとして気品ある街だ。
チューリッヒ、バーゼル、ベルンを含む東部がドイツ語圏なのに対し、ローザンヌとジュネーブは
フランス語圏だ。電車に乗っているとフリブール(ドイツ読みはドイツの都市と同名のフライブルク)を
境にアナウンスがドイツ語からフランス語に変わる。

普段のニュースであまりその名を聞くことはないが、ローザンヌには国際オリンピック委員会(IOC)の本部、
O君も卒業生である世界的名門校、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)、スイス連邦最高裁
などなど重要な教育・文化・法的機関が置かれている。

O君に連れられてローザンヌ大聖堂の鐘楼の上まで登ると、街全体が良く見渡せた。背後にある
湖と、その更に後ろにそびえ立つアルプスの山々が美しい。生憎曇り気味の天候だったが魅力は十分に伝わった。

旧市街を散策した後は、O君の車で街の郊外に広がる世界遺産の葡萄畑、Lavauxに行った。
ここの風景は実は既にローザンヌへ来る途中の電車の中から見ていて、ひどく感動したのでO君に是非連れて
いって欲しい、とお願いしようとしていたところだったが、既にプランに入っていたらしい。
まさか世界遺産にも登録されている景勝地だとは知らずに電車から初めてその光景を見たときはあまりの
美しさに思わず声を上げそうになった。今まで見た風景の中でもトップ3に入る。

Lavauxの葡萄は急斜面で栽培されているため、収穫が機械化出来ず、そのためコストが高い。
値段が高い上に、以前は決して高品質とは言えないワインを生産していたため一時は多くの葡萄農家が
経営危機にあったらしい。近年は様々な改良により味の水準が上がり、さらに2007年に世界遺産に登録
されたお陰で世界的な認知度や訪れる客も増えたと言う。
もともとこの地域はレマン湖の照り返しで陽当たりが良く、斜面により光が均等に当たるため葡萄の栽培
には適した場所だという。微気候(microclimate)により少し場所が違うだけでガラッと気温や陽当たりが
変わる中、Lavauxは絶妙な位置にある、らしい。


夕方はO君の実家にお邪魔し、弟のF君にも会った。彼は医学生だが、本格的な木製ラジコン飛行機や
Nゲージなどの鉄道模型に凝っており、地下室にあるドデカいジオラマセットを見せてくれた。
このジオラマセットは爺さんの代から受け継いでいるらしく、家族揃って機械いじりや模型にはまって
いる「いかにも」なスイス人一家だ。
O君はカナダにいる時から何でも「ホンモノ」にこだわり、カメラからキッチン要具まで、持ち物は全て
良いものを揃えていた。こういうこだわり派には日本製品というのはやはりウケるみたいで、彼はえらく
日本のことをいつも褒めている。F君も、ラジコン飛行機のモーターは日本製が一番だ、と言っていた。

「スイスは一時期日本に時計市場を丸ごと持っていかれそうになったしね。高品質で精密なものづくり、
という点で最大の良きライバルだと思うよ」と嬉しそうに語っていた。

弟君もこの10月に日本に遊びに来るらしく、再会を誓った。


夜はO君の奢りで、彼の高校の同級生M君も一緒に地元のレストランへ。彼らはチーズフォンデュを、
僕はローストビーフを頂いた。このレストランはともかく、スイスは物価が異常に高い。
特に今はユーロ安スイスフラン高なので、目が飛びでるような値段のモノを目にする。

例えばスタバでコーヒーを飲むと約600円、マックでビッグマックセットなど頼もうものなら1200円くらいする。

スイス人の賃金は当然この物価に合わせて調整されているので、スーパーのレジの人でも月30万円くらいを
手にしているらしい。

しかし一旅行者にとっては極めてお財布に厳しい国である。










0 件のコメント:

コメントを投稿