2011年8月9日火曜日

灼熱の街、矛盾の街、Abu Dhabi (8/4 - 8/8)

今回の旅最初の目的地はアブダビ。

アブダビ、と聞くと呪文に聞こえるが、アブダビはアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ州州都、
そしてUAEの首都だ。UAEといえば普通はドバイの方が知られているが、首都はドバイではなくアブダビで、
両都市間は車で一時間ほどしか離れていない。
アラビア半島の東の端に位置し、オマーン、サウジアラビアなどの国々と接する。



アブダビには予定到着時刻より1時間早い、早朝3時に到着した。
機内のアナウンスでは、アブダビの気温は午前2時半の時点で34度。おいおい。
入国審査は何も聞かれずあっけなく通過し、一歩空港を出ると日本を上回る湿気と熱気が
身体を一瞬にして包む。この先の3日間が不安になった。


そもそもアブダビに寄ったのはアブダビ在住・勤務の知人を訪ねるためだった。
ちょうど今月はムスリムにとっての聖なる月、ラマダン(断食月)であるため、毎晩彼女の家では
iftar(イフタール)と呼ばれる知人・家族を招いた大ご馳走が振る舞われた。

初日から知人の職場の知り合いや学生時代からの知り合い10人以上に会い、その顔ぶれは実に多様だった。
エジプト人、イラク系カナダ人、オーストラリア人、レバノン人、スイス国籍の
イタリア人とドイツ人ハーフ、ベラルーシ人とレバノン人のハーフ、セルビア人夫婦等々。
職業もコンサルタント、医者、エンジニア、建築家、などバラバラで、イスラム教徒もいれば
キリスト教徒もいたが、皆に共通するのは、この国では外国人であるということ。


UAEというのは多くの矛盾をはらんだ国だ。

実はUAE人というのは全人口の18%ほどしかいない。彼らは"locals"や"nationals"と呼ばれ、
石油収入で潤う政府による手厚い保護のもと暮らしている。町中では彼らはdishdashaと呼ばれる
白い伝統衣装を着ている事が多いので見分けが付く。
また、政治的にもSheikhと呼ばれるUAE人のロイヤルファミリーが権力を牛耳っている。

残りの80%超の人口の大半はインド、パキスタンそして東南アジア人から来る労働者だが、
多国籍企業で働く欧米人や近隣中東諸国の人も一定数存在する。しかし、人口上圧倒的に多数であるにも
関わらず、彼らはいくら長くUAEに滞在してもUAE国籍は得ることができない「外国人」だ。

Nationalsに対する外国人からの目は冷ややかな事が多い。彼らは超大金持ちで、豪邸に住み、
高級車を乗り回し、家ではお手伝いさんが全ての家事をしてくれるので自分達では何もできない、という
のがステレオタイプなイメージらしい。しかし話を聞くところによると、結構そのイメージは当たっている
ことが多いようだ。


アブダビ滞在中は毎日気温が45度前後、湿度も80%くらいだった。しかし、室内は寒いぐらいに冷房を
ガンガン効かせているので、建物から出入りの際の温度差が20度以上あってキツイ。
僕なんかは顔の皮膚がつっぱる感覚が毎回あったが、もしかしたら寒暖の差があまりに一瞬、そして激しい
ので、皮膚の収縮、弛緩が追いついていなかったのかもしれない。また、最初は何も考えずにその辺に
停めてある車に寄り掛かったりしていたが、本気で火傷一歩手前くらいまでいった。気温が45度なんだから
おそらく車体は60度以上あったのだろう・・・。少なくとも夏の数ヵ月はこんな状態なので、基本的に
人々は外を出歩かない。そうなると必然的に街は車の為の街になり、ヒューマンスケールを失う。
ほとんどの道路が最低片側3車線くらいある。


それでも尚ドバイ、アブダビにヒトとカネが集まるのはやはり石油があるからに他ならない。
しかしそれも時間の問題だろう。


ある人と話していたとき、彼が言った言葉が印象的だった。
「この国はサステイナブル、というのの対極にあるよ。なんせ全てが輸入だから。モノもヒトも。
石油が枯渇したら、労働者が一気に消えたら、この国は砂漠に戻るよ。」









アブダビの街並み







アブダビ郊外に現在建設中の次世代環境都市「マスダール・シティ」の見学に行った。
見学、といってもプロジェクトは難航中で、まだ特に何も出来ていない。マスダール・インスティチュート
というMITの研究機関があり、その施設が入っている建物周辺を無人の自動運転電気自動車が案内して
くれる。未来都市のようだが、ほとんど何もないので未来の廃虚のようでもある、ちょっと不思議な
場所でした。







エミレーツ・パレス、というホテル。本物の金を使った内装や、金の自動販売機、など
何から何まで豪華。成金テイストなのが否めない部分も大いにある。






Sheikh Zayed Mosque。UAE建国の父、と呼ばれる故ザイード首長が建てたモスク。
巨大、そしてこれまた内装が豪華絢爛。絨毯はイラン、壁のデザインはトルコ、タイルはイタリアから採用。








5 件のコメント:

  1. アブダビとかドコだよ・・・と思ったが、
    なるほど、そんな所にあるのか。
    それにしても尋常じゃない暑さだなー。
    33℃で死にかかってるオレにはムリムリ。。。

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  2. なんか、未来恐怖映画のシーンみたいな感じするね。

    悪夢的ってか・・

    それにしても女性の写真、撮っちゃっていいんですかね?

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  3. 久しぶりにCookieのブログをPCから見たけど
    写真めちゃめちゃきれいだね。一眼レフかな?

    UAEの石油マネーは確かにすごいけど依存しすぎてて
    将来に莫大なリスクを抱えてることにも確かになるね。
    国はそれをわかっているのか最近は環境ビジネスに投資が多いみたいね。日の照る時間が長いからSolar energyなんかも
    日本の何倍もエネルギーがとれるみたいだし。

    By the way,再来週、Seattle Portland米国出張行きます。
    久しぶりのPort landすごく楽しみだ!

    日本でまた飯でも一緒しましょう!

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  4. あ、上記コメントドンタです。

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  5. >ちきん

    もう日本の暑さで文句垂れるのはやめよう、と
    思いました・・・。と言ってもほとんど実際は室内に
    いたんだけどね。

    >QD

    かなり非日常的な風景で、全てが蜃気楼のようでしたよ。
    やっぱりあんなところに街があること自体かなり無理が
    あるよ。
    ちなみに写ってる女性はほとんど中国人(笑)
    モスクでは女性は皆頭を隠さなきゃダメなので黒い布を
    着させられる。あの恰好でバックパック背負って中国語
    喋られるとシュールです。ちなみに厳格なムスリム女性の
    写真を撮る場合は個人でアップ、とかじゃなければ結構
    平気らしい。サウジアラビアとか行ったら無理だろけど。

    >どんた

    お久しぶり!写真はそう、一眼レフだよ。
    UAEは、マスダールシティの例でも分かるように確かに
    石油枯渇後の事をかなり考慮に入れ始めてるみたいだけど
    如何せん全てバブリーなので、結構矛盾がたくさん見えるよ。
    淡水がほとんどないから、全て海水を淡水化することで
    賄ってるんだけど、そのくせにマスダールシティの構想では
    至る所に噴水あったりとか、かなりそれだけでエネルギー
    無駄にしてるだろ、と突っ込みたくなりました。
    でも確かにあそこでソーラー発電したら機械ぶっこわれる
    くらい発電できそうな気がしました(笑)

    ポートランドいいね!!羨ましいよ。
    鮭の輸入してるんだって?
    帰ったら飯行こう。

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